雨粒が呼び覚ますもの

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梅雨が明けたそうです。横浜は今年、あまり雨が降らなかったですね。
前記事の続きというわけではないのですが、自転車の話。

最近は自転車に乗る機会が以前より増え、そうすると雨対策はちょっとした懸案事項になる。大人になると、雨が降ったら傘を差す、というのがなんといっても簡便な方法で、実際、傘以外の雨具は持っていなかったし、傘が差せないほどの降水時でも傘にしがみつくしかなかった。

ところが、自転車に乗る時にはそういうわけにはいかないので、レインウェアを求めることになる。「雨が降って着るのが待ち遠しくなるくらい、お気に入りのウェアを探すといいですよ」ですって。店員さんはうまいことを言いますね。なるほど。

さて、少し前のこと。待望の雨の日がやってはきたが、溜息をもらし、しぶしぶ店員さんおすすめのウェアを着る(なかなか店員さんのような境地には達することができない)。そうして自転車を走らせていると、不思議な感覚を覚えた。なんというのか、子どもの時の感覚が甦ってきた感じ。これまで傘によって遮られていた、身体を雨粒が直接打ちつける、久しぶりの感触のせいでしょうか。傘を持ち合わせていなかったとか、近くに傘を売っている店がなかったとか、致し方なく雨を受ける場合もありますが、そういう時はずぶ濡れの不快な感触が先立つのでまた別な経験になる。

自転車を走らせながら、何かを思い出せそうで思い出すことはできずに目的地に到着。状態依存記憶という概念があるけれども、記憶を喚起するところまではいかなくて、「久しぶりの感覚」止まりだった。やはりといいますか、普段使わない感覚のモダリティを用いると意外な経験ができるものですね(感覚のモダリティというのはカウンセリングではとても大事なトピックです)。

次の雨が降った時、またこの感覚に遭遇できるだろうか。それを楽しみにすることができるくらいになると、店員さん並に一丁前といえそうなのですが。

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